春の訪れを感じるのは、柔らかな風とあたたかな日差し、木々の芽吹きを見つけたとき。
長い冬をようやく終えて春の兆しに気づくと、うきうきとうれしい気持ちになります。しかしこの時期は、三寒四温に例えられるように気温差が激しく、自律神経にも負担がかかる季節でもあります。
イライラ、目の疲れ、めまいや五月病のような気力の低下…。
これらは、春に活発になる「肝(かん)」からのサインかもしれません。
冬に溜め込んだものをスムーズに発散し、のびやかに過ごすための「春の養生」をお伝えします。
目次
✦ 五行論で見る「春」と「肝」
春は五行論では「木(もく)」に属し、働きが高まる臓が「肝」。
「木」は樹木の性質に例えられます。
「肝」は、草木が空に向かって枝を広げるように、エネルギーを全身にのびのびと巡らせる司令塔。
肝の機能
- 疎泄(そせつ)をつかさどる: 気・血・津液の巡りをスムーズにし、情緒を安定させる。
- 血を蔵す: 血を貯蔵し、必要に応じて各器官に配分する。
- 目に開竅(かいきょう)す: 視力や目の健康と深く関わる。
- 筋(すじ)をつかさどる: 筋肉の柔軟性や運動機能を支える。
- 爪に現れる: 血の充実度が爪のツヤや形に出る。
【薬膳×東洋医学】五行論とは?心と体のバランスを整える食材と体質ケアをやさしく解説
👆春は「肝」の季節とはどういうこと?五行論をやさしく解説しています。
| 項目 | 肝との対応 |
| 五行 | 木 |
| 六腑 | 胆(たん) |
| 五官 | 目 |
| 五主 | 筋 |
| 五季 | 春 |
| 五味 | 酸味(酸っぱさ) |
| 五志 | 怒り(イライラ・抑鬱) |
✦ 肝と他の臓腑との関係(相生・相克)
- 相生(助け合い): 腎(水)➡ 肝(木)➡ 心(火)
- 冬に「腎」で蓄えたエネルギーが、春に「肝」を育て、初夏の「心」の活力へと繋がります。
- 相克(抑制し合い):
- 肝(木)➡ 脾(土): 肝が高ぶりすぎると、消化器系(脾)を攻撃し、食欲不振や腹痛を引き起こします(ストレス性の胃腸炎など)。
- 金(肺)➡ 木(肝): 秋の「肺」の気が弱いと、春に「肝」が暴走しやすくなります。
✦ 『黄帝内経』に見る春の養生
春は「発生」の季節。すべての物が芽生え、万物は生き生きと栄える。
「発陳(はっちん)」: 古いものを出し、新しいものを生み出す時期。
- 生活のポイント
「夜更かししてもかまわないが、早起きする」: 冬より少し早く起き、ゆったりと散歩をして、身体を動かして「気」を巡らせる。
「髪をほどき、身体を締め付けない」: 束ねた髪を解き、ゆったりとした服を着て、心身ともに「束縛しない」ことが肝を健やかに保つコツ。
✦ 春の養生のポイント
- 「気を巡らせる」: じっとしていると肝の気が滞り、イライラのもとに。軽い運動や深呼吸が大切。
- 「目を休ませる」: 肝は目と直結。スマホやPCを控え、血の消耗を防ぐ。
- 「デトックス(解毒)」: 冬に溜まった老廃物を出すために、苦味のある山菜などを取り入れる。
- 「頭を冷やし、足元は温める」: 上半身に熱が昇りやすい季節なので、頭はリラックスさせつつ、足元の冷え対策は継続。
✦ 肝を養う食材(薬膳)の考え方
- 青(緑)の食材: 肝の色。クロロフィルが血をきれいにし、巡りを助ける。
- 菜の花、春菊、小松菜、ほうれん草。
- 香りの良い食材: 滞った「気」を動かし、ストレスを緩和する。
- セロリ、パセリ、三つ葉、ミント、柑橘類、ジャスミン茶。
- 酸味の食材: 引き締める力で、高ぶった肝の気を落ち着かせる。
- 梅干し、酢、レモン、イチゴ(※摂りすぎは胃を痛めるので注意)。
- 血を補う食材: 肝に蓄える血を充実させる。
- クコの実、なつめ、レバー、あさり。
肝とつながりのある漢方茶は?➡疲れ目ケアの方法総まとめ!漢方薬剤師による東洋医学の秘訣と漢方茶のご紹介
✦ まとめ
春は、冬の間に溜め込んだエネルギーを解き放ち、新しい自分を育む季節。
がんばって「何かを変えよう」とするよりも、まずは温かいハーブティーの香りを深く吸い込んだり、夜に少しだけ目を閉じたりする。
そんな小さな「ぬくもり」が、あなたの「肝」を整え、軽やかな春の足取りを支えてくれます。
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